「末は博士か大臣か」という文言は明治時代の話で、当時は博士は大臣と肩を並べる地位だったようです。
今でも大臣はなかなかなれるものではありませんが、医学部を卒業して学位を取得して博士を名乗るのはずっと容易です。
大臣は天皇陛下から頂く形になっていますが、学位は各大学の学長から頂くことになります。
一昔以上前は開業するにあたって「博士」は取っておいた方が良いと言われたそうですが、今となってはかかりつけのお医者さんが博士かどうか確認する人などいないでしょう。
ただし、おなじ博士であっても「医学」以外の博士号は現在も取得するのが難しく、それなりの価値があります。医学以外の、たとえば工学、理学、文学などの博士号は内容的に価値を認められた研究の経歴がなければ取れません。
なぜ医学だけ簡単に取れるのか、私は知りません。医学の博士とは立派な研究をしていなくても「研究」という思考過程の訓練を受けたという程度の内容と理解されてよいと思います。
何で私が博士号を取ったのかお話ししますと・・・
元々は博士など興味もなかったのです。しかしながら大学病院で6年間の臨床研修を修了した時点で就職予定だった病院の人事が直前で変更になってしまい、行くところが無くなってしまったので、とりあえず大学院に進学したというのが実態でした。
普通は大学院生は主任教授から研究テーマを与えられ、4年間研究を行って成果を論文にして博士号を頂戴するという形になります。しかし私の場合は完全に放置された状態で、全て自分で決める必要がありました。研究も大学ではなくて旧通産省工業技術院のとある研究室に居候に近い感じでお世話になりました(これは私が入学した年に連携大学院という制度が出来、それを利用できたのでラッキーでした)。
その後、国立大学と私立大学の教官に採用されたのは「博士」の肩書があってのことでしたので、私にとって一時の就職難は災いではなかったのです。