「きずあと」を気にされて形成外科を受診する患者さんは少なくありません。傷跡の治療は形成外科の主要な分野の一つです。
傷跡治療について
はじめに皆様に判っていただきたいことは、「傷跡を消し去る」ことは「不可能」であるということです。
たしかに傷跡の治療は形成外科の主要な分野です。
でも、形成外科医が行う主な治療は「手術的に傷跡を目立たなくする」ということなのです。具体的には新たに傷を作り変えることによって傷跡を以前より目立たなくするのです。
その方法が有効なのは一般的に「かなり目立つ傷跡」だけであり、「普通の傷跡」は「治せない」のです。言い換えれば、「ひどい傷跡」を「マシな傷跡」に作り変えることのみできるということです。
ただ、どの程度の傷跡であれば形成外科的治療が有効であるのかは、実際に傷跡を診てみないことには判断できません。
また、よく「健康保険は効きますか?」と聞かれるのですが、基本的に健康保険は適用できません(労災や交通事故の場合はそれぞれの保険が適用されることが多いです)。
傷跡の治療で健康保険が適用されるのは、傷跡の見た目ではなくて、「攣れ(つれ)」なのです。
傷跡が攣れてしまって、たとえば目が閉じなくなっていたり、口が閉まりづらくなっていたり、指が伸ばせなくなっていたら健康保険を使うことができます。
そのような傷跡の攣れ(つれ)は「瘢痕拘縮」と呼ばれる状態です。治療方法はZ形成術という方法を使うことが多いです。
当院の傷跡治療について
「Z形成術」は有名な手術方法なので、形成外科以外の医師でも名称をしっている手術方法で、古典的な形成外科手術手技ですが、見様見真似ではなかなか上手くいきません。専門の施設である程度経験を積む必要がある手技といえます。
当院では、もちろん対応可能な手術方法です。
症例
- 術前 お腹の外科手術の跡が引き攣れている状態です。
- 術前(デザイン) 引き攣れている傷跡を切除してさらにZ形成術を追加します。
- 術後 傷がZ形に並びますが、こうすることで引き攣れが改善するのです。